図書館に行くということ

図書館が好きだ。
館内の膨大な本に包まれている感じ。
「さぁ、いっぱいある本の中から好きな本を選んでいいよ」と言われている感じ。
図書館そのものがもつ包容力、自由さが好きなんだ。

館内にある端末からキーワードを検索し、本を探していく。
これといった特定の本はない。思いつくまま適当なキーワードで検索する。
表示された結果の中から興味深いタイトルをメモしていく。

メモをもとに書棚をめぐる旅は気持ちがいい。
途中航路で思わず寄り道をしてしまうこともしばしばだ。
ようやくたどり着いた目的地、本を見つけると席に座らずその場で直立不動、読みこんでしまう。
時には目的地の隣にある本を選ぶことだってある。
えてして旅というのは気ままであるべきだ。予定調和の旅など面白くはない。

一通り本を借りて、これからのことを想像し、心躍らせながら一歩図書館を出る。
すると、図書館に包まれていた我が身の感覚がスッと消え失せる。
我にかえる。
手元の本に対する興味までもがスッと消え失せる。

こうして今まで借りてきた本を完読できたことはない。

図書館は好きだ。
でも読書は苦手だ。

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